2012年01月16日
『殿様も犬も旅した東海道五拾三次』保永堂版、隷書版
歌川広重の東海道五拾三次は、江戸を出発し五十三の宿場を経て京都へ至るまでの道のりをたどった五十五枚の大判錦絵シリーズです。
「保永堂版」というのは、版元(出版社)の保永堂より出版された作品を指します。
「隷書版」とは、画中の題が隷書で書かれているので隷書東海道と呼ぶそうです。
どちらも描かれている宿場は一緒です。
(私は隷書版というのは聞くのも初めて、勿論見るのも初めてでした。)
丸子= 上/保永堂版 鞠子 下/隷書版 :パンフレット裏面より
今回は「保永堂版〜東海道五拾三次之内」(那珂川町馬頭広重美術館蔵)と「隷書版〜東海道」(サントリー美術館蔵)が同時展示されるという企画で、見比べながら鑑賞出来る展覧会でした。
又、保永堂版には「変わり図」というのもあり、構図がほぼ一緒、でも人物の数・動き、景色の一部が変わっているというものです。現代なら著作権がどうの…となるでしょうが、浮世絵の場合再版にはそのような規制は全くないとイヤホンガイドで聞きびっくりしました。彫り師と摺り師(工房?)の一存で変えてしまうらしいですよ。驚きですよねぇ〜!!
保永堂版と隷書版では、同じ地名でも
例えば、出発点の日本橋では
・「保永堂版」はお馴染みの日本橋の橋を参勤交代の大名行列が渡り国元に帰る様子。
・「隷書版」は橋に沿い蔵が建ち並び、橋を人々が行き交う様子。背景には富士山が。と、全く違う構図になっています
「保永堂版」を見慣れている者には、不思議な感じです。保永堂版と隷書版の描かれた年代には15〜19年の間があるので、広重もその間にも旅をして違う思いを持ったのでしょうか…私が感じたのは、後に描かれた隷書版の方が若い時代に描いたように思えて仕方ありませんでした。保永堂版の方が落ち着きがあるというか…
「保永堂版」は漢画的、「隷書版」は広重的とも言われているそうです。
どちらが好き?と聞かれれば、私は保永堂版と即答すると思います。見慣れているせいもあるかも知れません。
手持ちの山種美術館の所蔵の図録、平木浮世絵美術館の所蔵の図録と、今回の那珂川町馬頭広重美術館所蔵の物とは色・濃淡、雲の配色とか摺りが微妙に違います。初摺か後摺の違いか、興味が更に増しました。
サントリー美術館のミュージアム・ショップで図録の購入は可能です。興味を持たれた方は是非とも…
k.k.
投稿者 Granma : 2012年01月16日 21:38